うせもの宿【無料試し読み】
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安定した美麗な絵柄と、物語から紡ぎ出される情緒。

デビューからまだ数年とは思えない魅せ方で、読者の心を掴んで離さない人気作家「穂積」の最新作「うせもの宿」

ストーリーのメインには、訪れた客人のなくしたものが必ず見つかる宿を舞台に人々の隠された心の内側が繊細に描かれています。

物語の序章では、その全ての存在が謎に包まれており、秘密のベールを一枚一枚剥がしていくことで少しずつ核心に迫っていき、客人が自分と向き合いなくしたものへ辿りついていきます。

その宿にはひとつのストーリーが完結すると、別のさがしものを見つけたい客人が訪れるという一話完結型で進み、毎回、宿の従業員と女将が客人を迎え入れます。

その印象からはとても不思議な空間が存在していて、本当にそこにあるものとして描かれているのか、読者からしてみれば非常に気になる場所だともいえます。

そこに登場する客人たちは、とても人間臭くそれぞれの悩みや、心の葛藤を抱えていていますが、それに立ち向かうため勇気を奮い戦いを挑むわけでもありません。

人間であれば、生きていくために自分の心の一部に蓋をしてみて見ぬふりをすることもあります。

それを自分から再び開けるには、想像以上の苦痛を味わうこともあるかもしれません。

「うせもの宿」では客人の心の痛みを消し去るわけではありませんが、自ずと自分から向き合う心が持てるようになれます。

それがなくしたものを見つけることができる宿と言われる所以とも考えられますが、何が見つかるのかは本編でお確かめ下さい。

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